続きが読めて本当に良かった!!
「ウィザーズ・ブレイン」シリーズ、約9年ぶりの待望の新刊。開店休業が久しい本サイトですが、これだけは絶対感想書かねばと思い、1年ぶりの更新です。
このウィザブレ、自分がライトノベルにハマりかけの時に出会った作品で、少年向けライトノベルのオールタイムマイベストでもある、思い入れだらけのシリーズ。電撃文庫をろくに読まなくなってからも、毎月刊行予定をチェックしては肩を落とす日々を続けていました。電撃は何年経っても続編を出すことがあるので、希望は捨てずに待っていましたが、いやー捨てなくてよかった! 刊行してくれてありがとうございます、この物語を完結まで読むことができそうで嬉しいです。
さて、何語ってもネタバレ避けられないので、ネタバレ全開で感想いきましょう。
面白い、しんどい、ここからどうやってエンディングに辿り着くんですか?????? 上巻の時点でしんどくなることは分かっていましたけど、世界が明確に破滅に向かっていくのが辛い巻でした。
触れたい点多いですが、まずは祐一関連から。そうか、ここで退場ですか……。これ以上誰も欠けてほしくなかったですが、祐一に関しては1巻からここまで生き切ったという感があって、真昼ほどショックは大きくなかったです。それに、3巻がとても好きなので、3巻でのディーとセラの決断のために残りの命を燃やしに向かう姿が、心にぶっ刺さりました。騎士戦闘の境地に至ったシーンや燃え尽きたイラストにも胸うたれましたし、壮絶な人生の終わりだったなあと。
ディー君はようやく止まりましたが、治ってもこれまでと同じレベルで戦うのは厳しいですよね、そもそも動乱の間に治るのかも怪しい。再会は遠くない気がしますが、関係性の行方がとても気になります。セラについては、もっと不穏で酷いことになるかもと怯えていたので、思ったより円満に離脱することができて少し安心。離脱の最後の一押しはなかなか重かったですが……。このシーン含めて、託していく大人たちが誰も彼も格好良くてしんどい。格好いい大人はアニルとフェイで打ち止めじゃなかったんですか? 始まりの魔法士が出てくるなんて聞いてませんよ? この中巻だけで散っていく人多すぎるんですよ、ちくしょう!!
散っていく人といえば、イルの周り。これも英雄言及の伏線をえげつない形で回収しましたね……。生かすためのバケツリレーという描き方が凄い、英雄に託す想いがこれでもかと伝わってくる。このシーンを特典に持ってくるの、容赦ないけど需要を分かってるなと思います、ええこういうの好きですよ。イルは個人的に後半の巻での好感度の伸びが大きい子です、背負うものが重たすぎますけど、乗り切った後に凄いものを見せてくれそう。
再生機構組は、この展開だとなかなか打つ手が見えなくて、ファンメイの前向きさが癒しですけどやるせなかった。ヘイズの大人としての立場もしんどい。次巻予告を見るとファンメイ&ヘイズコンビの活躍が見れそうで、一番好きなウィザブレが2巻である自分としては大変楽しみではあるんですが、ファンメイ無茶苦茶心配でもあります。ただでさえ黒の水関連がずっとやばいのに、下巻表紙のその笑顔、死亡フラグにしか見えない。下巻を乗り切れば最後まで生き残れる気がしています、生きて……!
衛星組?は、フィア成長したなあと。新刊発売前に1巻から再読したので感慨深いです。シンガポールや今回が、神戸についての自分なりの決着をつけるには必要だったんでしょうね。で、フィアは助かっているだろうのであまり心配していないのですが、サクラの方が心配。ずっと死ぬ覚悟で動いていそうで。ただ人類側が攻勢に出たおかげでサクラの生存確率は上がった気がします、サクラが亡くなると賢人会議の魔法士たちが幸せになれるルートが多分潰えるので、どうにかなってほしい。真昼の錬への遺言が何だったかがまだ見えませんが、錬の分まで何かをサクラが背負ってるのかな……。
錬は前巻で活躍ないよ予告されてましたし、この展開で錬視点だったら立ち上がれないのも止むなし。覚醒フラグ立ちましたが、精神的にはフィア生存確認できないと動けない気も。あとは何が選択の鍵になるのか。身近な人が原動力だったことがこれまで多かったですが、託されてきたものを受けるなら、それ以外であってほしい気も。
さて最後に。ツイッターでとある感想を見かけて、1巻の冒頭4行詩を振り返ったら、今とこの先の物語に当てはまっていそうで震えました。錬が主役になるだろうことも含めて、はじまりに回帰するんでしょうか。だとすると、物語の向かう先はパーフェクト・ワールド……? 本当に「それだけで世界は美しい」になっていることもありえそうでドキドキしますが、絶望な終わりなわけはないと信じています。まずは来月の下巻を待ちます。